お話の詳細
対人関係
銀のハシビロコウ
3ヶ月前
ネガティブな想像をすることが止められません
仕事での報告や共有(特に自分の失敗)など、言わないといけないことがあると、頭のなかで相手とのやり取りを想像してしまいます。それがネガティブな展開を想像してしまうので、言う前から不安と緊張でいっぱいになってしまいます。あぁ、言いたくないな。と後回しになっていき、想像していた通りの悪い結果になってしまいます。 自分でネガティブな結果を招いているようでなりません。かといって、想像することを止められません。どうしたらいいでしょうか?
0 専門回答希望
5 人が共感
コメント 1 個
専門回答希望 0個, 共感 5個, コメント 1個
内田 朋加 さんの専門回答
3ヶ月前
"こうなるだろう”を”こうなったらいいな”に変えてみることはできそうでしょうか
#自己成就的予言 #イメージ #ポリヴェーガル理論
銀のハシビロコウさん、初めまして。 臨床心理士・公認心理師の内田と申します。 ご自身の抱くネガティブなイメージが現実になってしまうことが多いのですね。 そうなるとますます次の行動をとるのが億劫になってしまうことでしょう。 一緒にどうしたらその状況を打破することが出来るのか、考えさせていただきます。
[今回の悩み]
銀のハシビロコウさんは、お仕事で報告や共有をしなければならない場面があると、口に出す前に相手とのやりとりを想像してみるのですね。 しかしそれがどうしてもネガティブな展開となってしまい、実際に伝える前から不安と緊張がいっぱいになってしまうとのこと。 特にご自身の失敗などに関することだと、ただでさえ口に出すのに不安を伴いますよね。 その結果、言いたくないな、というお気持ちが強くなり、後回しになっていくうちに結果的にご自身が想像した通りの悪い結果になってしまうことが多いのですね。 まるでご自身でネガティブな結果を招いているように感じられてしまうけれども、そうした想像を止めることもできず、どうしたらいいかお悩みなのですね。
[悩みの原因・分析]
お仕事での失敗を職場の誰かに伝えなければいけない、報告や共有をしなければならないとなると緊張はもちろん、どんな反応が返ってくるのか不安や恐怖を感じますよね。 銀のハシビロコウさんは実際にお伝えになる前に一度お相手とのやり取りを想像して見られるとのこと。イメージトレーニングをしてから臨むことは適切な伝え方などのためにとても良いことだと思います。 しかし、銀のハシビロコウさんの場合、そのように想像してみることでかえって不安や緊張が高まってしまっているのですね。 そして言わなければならないことが後回しになってしまったり、想像した通りの悪い結果を招いてしまっているとのこと。 社会学者のロバート・K・マートンさんが提唱した「自己成就的予言」というのがまさに銀のハシビロコウさんが書いていらっしゃることと同じような現象をさしていて、人はそれが正しかどうかに関わらず自分の抱いたイメージや予測に無意識のうちに影響され、結果としてその予測通りの結果を招いてしまうことがあります。 また、スティーブン・ポージェス博士の提唱したポリヴェーガル理論では、人はそのときの自律神経のバランスによって「安全・社交モード」「闘争・逃走モード」「凍り付きモード」をベースとしたどれかの状態になると言われていて、そのときの微妙な行動や態度によってそれが相手にも伝わり、例えばこちらが「闘争・逃走モード」であったとすると相手にもそれが伝わり、いつの間にか険悪な雰囲気になってしまう可能性があると考えられます。 銀のハシビロコウさんが書いてくださった状況を想像してみると、ご自身が想像したネガティブなイメージによって体は強張り、心臓はどきどきして、心の中もとても穏やかとはいえない状態となっていることかと思います。 こうした状態はポリヴェーガル理論で言うところの「凍り付きモード」(危険を前に動物が死んだふりをするような、身体が硬直した状態)と「闘争・逃走モード」(危険が迫ってくればその対象と闘うか、あるいはその場から逃げるなどして身の安全を守ろうとする状態)とのブレンドであると考えられます。 そしてこうした状態でいることで、無意識にまわりの方にもその緊張が伝わり、相手も穏やかな状態とは異なる雰囲気になっていってしまっている可能性が考えられます。
[やってみましょう!]
とはいえ、仕事のミスに対してネガティブなイメージを抱かずにいられることなんてまずないですよね。 そうでなくても、何かしら職場の方々と共有したり報告したりしなければならない場面というのはある程度の緊張を伴うものです。 まずはハードルの低そうな、失敗に関連しない報告や共有事項についてから考えてみましょう。 それらの内容を伝える際にもネガティブなイメージが湧いてしまうのはどうしてでしょうか。 もしかすると、正確に内容を伝えることに不安があるのかもしれませんし、職場での人間関係に不安がある可能性もありますね。 こちらではご投稿いただいた内容以上のことはわかりませんが、ご自身の失敗に関することと比べると、それほどネガティブになる要素は少ないかと思います。 はじめに想像したやりとりがネガティブなものであれば、”こうなったらいいな”というポジティブな想像も次にしてみましょう。 職場だとなかなか難しいかもしれませんが、鏡の前で実際にやりとりするときのご自分の表情を見ながら練習してみるのも効果的です。 少し無理やりにでも、ポジティブな想像をしてみることで、少しお気持ちは落ち着き、身体の状態もほぐれてくるはずです。 また、イメージからだけでなく、硬直した身体を伸ばしたりもみほぐしてリラックスさせてあげるなど、身体面からのアプローチも有効です。 どきどきした心臓は深呼吸を繰り返すことで少し落ち着いてくるはずですし、心身両面から「凍り付き・闘争逃走モード」になっている状態を少しでも和らげてあげることができると、相手への伝わり方も少し変わってくるはずです。 そして、ご自身のミスが関係している内容の場合。こちらはある程度ネガティブな反応が返ってくる可能性は残ってしまうかと思いますが、それでも銀のハシビロコウさん自身がどのように感じ、次どうしたらいいと考えているかなど、ご自分なりの反省点も付け加えてお伝えできると良いかもしれません。 例えば報告や共有が後回しになってしまった場合、「すぐにお伝えするべきなのはわかっていたのですが、今になってしまって申し訳ありません」という文言を先に入れておくことで、後回しにしてしまったことを悔いているお気持ちを伝えることは出来るでしょう。 相手からこう思われてしまうだろうな、こんな反応が返ってきてしまいそうだな、と想像できる内容に関しては、先にそれを言葉にしてしまうのも一つの手かと思います。 ご自分の状況やお気持ちだけでなく、相手がそれによってどう感じたり考えたりするだろうかということまで考えていることが伝わることで、相手への配慮も伝えることができ、前者だけを伝えた場合よりもいくらかやりとりが穏やかなものになる可能性があるかと思います。
職場というのはいろいろな人がいて、もしかすると苦手な人、何を言ってもネガティブな反応しか返してくれないような人もいらっしゃるのかもしれません。 また上にも書いたように、銀のハシビロコウさんご自身が相手に何かを伝えることが苦手だったりする可能性もあります。 もしそうした傾向があるのであれば、カウンセリングでご自身と向き合うことで、その苦手さを軽減したり、実際のやりとりの練習をして自信をつけることもできます。 お忙しい毎日かと思いますが、だからこそご自身と向き合う時間というのは貴重でもあります。 機会があればぜひご活用いただければと思います。 銀のハシビロコウさんの抱くネガティブなイメージが、少しずつでもポジティブなものへと変わっていくことを応援しております。