くしゃみや咳払いなど、特定の音を聞くとイライラしたり、憎悪の気持ちまで出てきてしまったりするというりょくちさん。原因となる音から離れられれば良いけれど、公共の場等、その音から逃れられない場所では困ってしまうとのことです。何か原因はあるのだろうか、対処法はあるのかというお悩みを投稿してくださいました。

コメントしてくださった方もおっしゃっているように、特定の音に対する苦手意識が強く、イライラしたり攻撃的になってしまったりする症状を音嫌悪症（ミソフォニア）と言ったりします。くしゃみや咳払いなどの他、泣き声やパソコンのキーボード音が苦手という人もいて、その症状の出方は様々です。こういった症状に悩まされている方は多いものの、まだあまり知られていない概念であるため理解を得にくく、辛い思いを抱えて苦しんでいるという方もたくさんいらっしゃいます。

学校でスクールカウンセラーとして勤務していると、ドアの開閉音や机・いすを引きずる音が苦手、給食中の咀嚼音が苦手という人をけっこう見かけます。最近は学校現場でこういった聴覚過敏に対応してくれるケースも増えていて、イスの足部分にテニスボールのような物をつけて音が鳴らないようにしたり、ドアの開閉部分に緩衝材をつけたりすることもあります。咀嚼音が苦手でどうしても教室で給食を食べられないという生徒さんに対しては、別室で食べる対応をしている学校もありました。 このように集団生活を送る上で時に困難を感じるほど、音に対する敏感さがある状態を聴覚過敏と言います。一時的に自律神経のバランスが乱れていたり、何かしらの発達的な特性があったりと、原因も様々です。ですが、聴覚過敏だけではその音を聞いてそこまで攻撃的になったり、憎しみを感じたりすることはありません。今回の投稿のように、イライラして暴れ出しそうになるほどの嫌悪感を伴う場合には、ミソフォニアの可能性があります。 ミソフォニアの原因については分かっていないことも多く、その症状自体に対処できるような治療法というのも確立されていないのが現状です。聴覚過敏の方は学校・仕事等で音が気になってしまう時に、イヤーマフや耳栓の使用を許可してもらうことがあります。電車やバスなどの交通機関で音が気になる場合には、そういったツールを活用して音を遮断できるようにするというのも一つの方法です。ノイズキャンセリングのイヤフォンで音楽を聞くというのも良いかもしれません。 また、あまりにも攻撃的になり過ぎてしまう、イライラして何も手につかないという場合には、一度医療機関で相談してみるというのも良いのではないでしょうか。音を嫌悪してしまうという症状自体にアプローチするのは難しいですが、イライラを抑えたり、気分の上がり下がりを安定させたりといったことについては相談できる場合があります。SNS上で同じような症状を持つ方同士で情報交換したり、対処法について共有したりといったことも役に立つかと思います。

自分でも制御できないイライラや嫌悪感に振り回されてしまう毎日は、とても辛いですよね。日常生活でお困りのことについて誰かに話を聞いてほしい、専門家に相談したいという場合には、こちらでもオンラインのカウンセリングが利用できます。機会があれば、是非利用をご検討くださいね。 りょくちさんが少しでも心穏やかに毎日を過ごせるようになることを、願っています。どうぞご自愛ください。