お話の詳細
自由
匿名さん
3年前
高いところに登れば遠くまで見える。だから 上を目指していけば選択肢は広がる、 そう思って彼は頑張っていた。でも自分は、 周囲の人間とは違うことに気づいてしまった。 色んな山道を楽しんで登ってきた人を、 ムキムキの力で一気に崖を登った人を見て、 崖に這いつくばっている自分とは 大きな力量差を感じてしまったのだ。 夢はどうしても見てしまうものなのか。 彼は、将来はあんな仕事に就いて、大いに人々に貢献したいと思った。でも、 優秀な周囲を見て、夢に向かった結果を見て、自分の無力さを思い知る。彼は後悔した。 夢は夢のまま、その方がいい。と気づくこともできずに手を伸ばしたことに。 とはいえ、上しか見てこなかったものだから、その星が消えそうになって、自分がどこにいるのかもわからなくなってしまった。 一筋の光の糸を掴んだまま立ちすくむ。 これが切れると、これまでの人生は無駄になってしまうのではないか。どこに向かうべきかわからないまま、歳だけ重ねてしまうのではないか。 彼は絶望し、富士の山へと姿を消した。
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