物心ついた頃には、すでに私には何かを自由に選ぶ権利はなかった。親が正しいと言ったこと以外は全て悪。親が決めた道を歩む以外の選択肢は、望むことすら罪に思えた。だから私には主体性がない。自分の存在価値を他人に委ねることでしか、生きられない。それが当たり前だから、他人といる時はそんなに気にならないけど、一人でいるとき、この無色で空っぽな自分と向き合わなきゃならない辛さと、どうしようもない寂しさ。人の姿をしただけの、まったく別の世界の生き物のような、そんな感覚。できることなら自分の人生に没頭したい。そんなことできるはずもないけど。