少し話を聞いてもらってもいいですか。
今、ある新興宗教がメディアで取り出されていますよね。元首相が暗殺された件で、名が浮上してきた宗教です。
私が生まれた家は、親戚含めて、そこの信者でした。
私は生まれながらにして、そこの信者でした。
私はその価値観のなかでいきてきて、生きる意味もそこから与えられていました。
ずっと、受け入れてきました。
そこの宗教は、恋愛を禁止していました。
けれど私には、好きな人がいました。
それは6年前のことです。
向こうも私のことを好いてくれて、何度も告白もしてくれたのだけれど、こちらからは答えることができなかった。本当に好きだったのに、想いを伝えることすらできなかった。正直、それは大きな傷跡になりました。
その後、またいろいろあって、私はついに、1年前、教会から1度、離れることにしたのです。
けれど、それはしんどいものでした。
まだ未成年なので、家族からは離れられず、家族は皆、それを信じていて、私だけが、ひとりぼっちでした。
加えて、これまで信じてきたこと、努力してきたこと、我慢してきたこと、少なからず、愛していたことを捨てるのは、本当に、何度も人生をやめてしまいたくなるほどの辛さがありました。
いまだって、迷っています。
つらいです。
そして、その教会は今、メディアでいろいろと言われています。
これは離れるチャンス、とも思いながらも、でも、親や親戚が信じているものを、世間の人がボロカスにいうのは、つらいです。耐えられないのです。
つまり、自分でも、もう、よくわからない。
自分の価値観と、世間と、家族との軋轢のなかで、押しつぶされそうです。
私も含めて、教会に多くを捧げてきた人間が、簡単にそこから抜け出すのは、たとえその意思があっても、難しいのです。
けれど、いまの私には、信仰を続ける力もありません。
まるで、普通の人がいる対岸に渡ろうとして、けれど、体力が尽きそうで、後にも引けず、対岸にも渡れないのです。
いや、頑張りますけれど、でも、つらい。
相談できる相手も、いないのです。